整形外科の入院患者は、基本元気だ。
病棟には高齢者の方も入院中だが、比較的若い年代で10代の方も入院している。そのせいか、病棟を行き交う患者たちは病人のイメージに合わないような元気な人間が多い。
腕、足、腰それぞれ入院理由は色々だが、それ以外は普通の方と遜色ない健康状態だ。
だから患者側も、たまに私って元気なんじゃないの。大丈夫なんじゃないの、これくらいのこと前と同じに出来るんじゃないのと、錯誤を起こすことがあるみたいだ。
そして、看護師さんに勝手なことをしないで、一人で動かないでと注意されることになる。
入院中の患者にとって、一番怖いのは転んで今までの努力がやり直しになってしまうことなのだ。
我々患者は今、患者と家族と病院関係者で、長時間にわたりドミノを並べているような状態だ。
一つ一つ、ゴールを目指して、ドミノの牌を置いている途中なのだ。
一つの些細なミスが全てを台無しにしてしまう。また一からドミノを並べることになってしまう。
怒りと悲しみと諦め。
そんなことにならないために、まだ日常生活に戻るまでの道の途中なのだと自分に言い聞かせている。
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