私にも主治医なる人がいる。
救急車で病院に運ばれて、たまたま整形外科の診療当番だった先生だ。
彼はいつも不意に現れて、一言二言、言葉を交わすと風のように一瞬で去って行く人だった。
はっきり言って、私に医者の良し悪しは分からない。大門未知子が手掛けるような難しい手術でもないかぎり、救急病院で頻繁に外科手術しているような医者ならある程度の技量が身についているだろうと思う。
まあ、手先が器用な人なら、裁縫の上手な人と同様に傷を縫った部分が美しいとは思うが、ホッチキスのようなものでとめることも多いから、やっぱり分からない。
でも、主治医を知る人は、皆、彼のことを名医だという。
私には実感がまるでない。
ただ一つだけ、もしかしたら、彼はすごい先生かもと思うこともある。
手術の傷跡が痛くないのだ。
手術後3日くらいは痛かったのだが、それ以降は患部を動かしたら痛い状態、一週間もたつと傷跡の痛みが消えたのだ。骨折の手術は初めてなので、真偽の程はわからないが。
医者ガチャの当たりを引いた私はこれから10年くらいの運を使ったんだと思う。
先生、ありがとうございます。
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